大判例

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東京地方裁判所 昭和32年(モ)1074号 判決

協和信用金庫

本件建物が、もと鈴木浦次郎の所有であつたこと、本件建物につき、債権者協和信用金庫は昭和三十一年二月三日所有権移転請求権保全の仮登記を経たうえ、昭和三十二年一月九日所有権移転の登記を了し、債務者原田富三も亦昭和三十一年十二月一日所有権移転の登記を了していること、及び債務者が現に本件建物を占有していることは当事者間に争いがない。

債務者は、債権者主張の事実をもつてしては債権者として本件建物の所有権を取得することができないと主張するけれども、債権者主張の根抵当権設定並びに代物弁済契約によれば、債権者が約定の期限において現実に抵当債権を有するかぎり、たとえ極度額金二百万円に満たなくとも、右債権金額の代物弁済として本件建物の所有権を取得することができることは明白であり、他に何らの主張も疏明もない本件においては、債権者は、工和自動車工業株式会社に対する債権合計金百四十万九百十三円の代物弁済として、本件建物の所有権を有効に取得したものといわなければならない。

次に債務者は、債権者が本件建物の所有権を取得したとしても、それ以前に所有権移転登記を了している債務者に対抗することができないと主張する。しかしながら、前記当事者間に争いのない事実によれば、債務者の右所有権移転登記は、債権者の前記請求権保全仮登記の後になされたものであり、その後右仮登記に対応する権利変動があつたとしても、その本登記がなされたことを推認し得る以上、仮登記そのものの効果として、債務者の右登記は、その効力を失つたものと解するのが相当であり、これと異なる債務者の右主張は採用できない。

よつて、債権者の本件仮処分申請は理由があり、これを容認してなした昭和三十一年十二月十二日の仮処分決定は相当であるとして、これを認可した。

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